[写真]聖神社

聖(ひじり)神社は、「和同開珎」ゆかりの神社です。蓑山(簑山/美の山)の麓、秩父市黒谷にあります。聖神社は「銭神様」とも呼ばれ、金運上昇のグッズなども販売されています。

近くには、和銅が採掘された露天掘り跡「和銅遺跡」があります。また、和銅採掘にまつわる言い伝えや地名が残されており、一帯はパワースポットとしても注目されています。

聖神社

[写真]神社前
神社前

国道140号線から100m弱、秩父線の和銅黒谷(わどうくろや)駅からも徒歩約5分とアクセスしやすい場所に聖神社はあります。

道路左手に駐車スペースがあり、その脇が入口です。階段上の鳥居を過ぎ、さらに手水舎の先の階段を登ると社殿前になります。

社殿は秩父市中町の今宮神社から昭和39年(1964年)に移築されたもので、建築は江戸時代中期。秩父市の有形文化財に指定されています。旧社殿は、現在の社殿の左側にある和銅出雲神社です。

境内にはたくさんの絵馬が掛けられています。「和同開珎」の円形のものもあります。

[写真]鳥居
鳥居

[写真]聖神社の絵馬
聖神社の絵馬

歴史

和銅の献上

今から約1300年前、慶雲5年(708年)1月11日、秩父地方から和銅が朝廷に献上されました。元明天皇はこれを祝い、「慶雲」から「和銅」に改元されています。(『続日本紀』巻第四)

和銅の「和」(にぎ・にき)は、「荒」(あら)と対になる言葉で、やわらかい・細かい・穏やか・ととのったなどの意味になります。「自然作成和銅」と記されており、純度の高い自然銅だったようです。(にきあかがね)

聖神社の創建

和銅献上の際、近くの「祝山」に金山彦命(かなやまひこのみこと。鉱山の神様)が祀られ、朝廷からも勅使が派遣されて祝祭がおこなわれました。そして、和銅元年(708年)2月13日に現社地に遷され、聖神社が創建されたと伝えられています。

聖神社では、金山彦命、国常立命(くにのとこたちのみこと)、大日孁貴命(おおひるめむちのみこと=天照大神)、神日本磐余彦命(かむやまといわれひこのみこと=神武天皇)が創建時より祀られました。
養老6年(722年)11月13日には、元明天皇も元明金命(げんみょうこがねのみこと)として合祀されています。

また、和銅石と、元明天皇が下賜された雌雄一対の銅製の蜈蚣(むかで=百足)が御神宝となっています。

和同開珎

和銅の献上をきっかけに、皇朝十二銭の最初である「和同開珎」(銀銭と銅銭。翌年8月に銀銭は廃止)が発行されました。

唐の開元通宝(621年発行)をお手本にして作られたといわれ、時計回りに和同開珎の文字があります。近畿地方を中心に流通し、全国各地また海外の遺跡からも発見されています。

なお「和同開珎」の発行前から「無文銀銭」や「富本銭」が存在していました。今のところ、それらが通貨として広く使われていたかは明らかになっていないようです。「和同開珎」の登場により、本格的に貨幣が流通しはじめました。

和銅遺跡

[写真]和銅遺跡のモニュメント
和銅遺跡のモニュメント

聖神社の先には、和銅の露天掘り跡があります。神社前から坂道の車道を400mほど行くと右側が入口です。

入口からは階段の歩道を下りていきます。沢沿いまで下りたら左へ。林の中の道を歩いていくと、和銅遺跡の広場に到着です。

ここには「和同開珎」の大きなモニュメントが建てられています。高さは5mほどで、隣を小川「銅洗堀」が流れます。小川の向こうには露天掘り跡の表示があります。

この場所は、秩父盆地と東側の外秩父山地との境となる「出牛-黒谷断層」(出牛は皆野町金沢の地名)が走っています。広場の橋を渡り山道を進めば、露出した断層を見ることができます。

[写真]和銅遺跡方面への車道
和銅遺跡方面への車道

[写真]車道からの入口
車道からの入口

[写真]林の中の道
林の中の道

[写真]モニュメントそばの橋の先から見下ろした風景
モニュメントそばの橋の先から見下ろした風景

そのほか

和銅黒谷駅は、和銅奉献1300年を記念して2008年に「黒谷駅」から改称されました。木造駅舎の趣のある駅です。ホームにも「和同開珎」のモニュメントがあります。

聖神社や和銅遺跡の周辺には、和銅採掘に関連した言い伝えや地名が残されており、解説板で案内されています。古に思いを馳せながら、和銅の里を歩いてみませんか。

アクセス

〒368-0001 埼玉県 秩父市 黒谷 2191 (聖神社)

電車

秩父線「和銅黒谷駅」下車、聖神社まで徒歩5分(約400m)

駅前の道を行くと国道140号線に出ますので、押ボタン信号を渡り左に行きます。社号標石のところを右に曲がるとその先の左側にあります。

関越自動車道「花園IC」から国道140号線・皆野寄居有料道路経由で約18km

和銅黒谷駅前の押ボタン信号より、300mほど北(長瀞・皆野寄り)が入口です。東側(山側)に社号標石や「和銅遺跡」入口の看板があるので、そこの道を入ります。国道から100m弱で、聖神社の駐車場に到着します。

リンク

和銅遺跡と銭神様
http://www.wadoh.co.jp/wado1300/

秩父市和銅保勝会
http://www.chichibu.co.jp/~wado/

関連するページ

秩父の神社

今宮神社
秩父市 中心市街地の中町に鎮座。社殿の移築元。樹齢千年を超える「駒つなぎのケヤキ」(龍神木)や、武甲山伏流水の「龍神池」などがあります。

宝登山神社
秩父郡長瀞町 宝登山の麓に鎮座。秩父三社。宝登山周辺にも、和銅などの金属に関連する遺跡や地名があります。

和銅黒谷駅
最寄りの秩父線の駅。ホームに「和同開珎」のモニュメントがあります。